銀色の天の下





      銀色の天―そら―の下


あれはいつの日だったのか、
それとも遠い昔のことだったのか。
………ひとつの昔語り。




その年
初めての雪が舞った
雪は一日中、音も無く降り続き
翌朝、煌めく銀色が辺り一面を覆った

その日
雪を降らせていた灰色の雲が少しずつ薄れていき
太陽がその光を大地へ降り注ごうとしていた


その一瞬……


天―そら―と大地が溶け合う


ひときわ輝く銀色の妖が天に現れ
大地に舞い降りる

地上には
柔らかに微笑みを零す少女


銀色の天―そら―の下
妖と少女は抱き合う
二人は溶け合い、ひとつになる


やがて


煌々と空を舞い上がり


揺れながら 


消えた――





………その光景は、まるで掌にのせた雪華が
きらきらと溶けていくような光景だった、と。






サイトを開設してから、いつか描きたいと思っていたものがやっと具現化しました。BUCK-TICKの《FLAME》という曲をライヴで聴き、ビビビっと啓示が降りてきましたw。
儚さと永遠、二人、愛情、過去と未来、そら、白銀、真っ白な世界…今回の作品は、これらの言葉がキーワードです。


2009.7.13@Richomaru