― 絆 ―
 

りん


おまえは一度狼に噛み殺され
私の振るった天生牙で生き返った

だが冥道で再び命を落とし
一度天生牙で甦ったおまえの命は 戻らなかった






 

りんの「死」
その存在を「失う」ということ


誰かが言った………

“愛しき命を救おうとする心”
“それを失う悲しみと恐れ”


まるで心が引き裂かれるように
初めてそれを思い知らされたのだった
そして
りんの命と引き換えに得るものなど何も無いのだと―


冥道石で おまえは人の身でありながら
二度目の「死」から覚醒した
おまえはゆっくりと瞳を開く


……これは奇蹟か


静かに 確かに刻む鼓動が
血が巡り 徐々に高まる体温が
微かな吐息が
鈴のような声が
私に染み込み 身体の隅々まで巡り 突き抜けてゆく














おまえが私の腕の中にある
この今も……


















……これは運命(さだめ)か




2008.10.8 @Richomaru